沖縄県八重山諸島。沖縄本島よりも南に位置する島々の中心地「石垣島」に、農作物や畜産物の生産から、食品加工、流通販売・観光交流まで一貫して行っている「やえやまファーム」があります。
このやえやまファームで、肥育牛の育成に携わっている上原さん。
上原さんはご実家が精肉店だったこともあり、畜産の道へ進むことを決断しました。
現在は、就職して1年が過ぎ、子牛の飼育や出荷前の作業を中心に、畜産業に携わっています。
目次
介護からサトウキビの収穫作業。そして畜産の世界へ
上原さんが農家になったのは1年前のこと。
八重山農林高校の福祉科を卒業し、介護福祉施設で働いていた上原さんは、自然に触れ合える仕事がしたいと、サトウキビの収穫の仕事に挑戦しました。
その際、廃棄するサトウキビの先端部分を牛の餌として与えていることを知り、畜産に興味を持ったそうです。
それまで、畜産業に携わったことはなかったと話す上原さん。
「高校の授業の実習で少し農業をやったことはありましたが、畜産はまったくやったことがありせんでした。完全にノータッチです笑」。
「あと、実家が精肉店なので、販売される前の段階をもっと知りたいと思いました」という動機もあり、動物と触れ合えることができる畜産の世界へ飛び込んだそうです。
餌づくりに給餌、除角、去勢までめまぐるしい1日
上原さんの1日は、朝8時のミーティングからはじまります。
しかし、「ミーティングの前に自分の牛たちの見回りをしています」と上原さんは精力的に行動しています。
さらに、売りに出す牛が多かったり、石垣牛の出荷作業があったりする場合は、朝5時から始業することもあるそうです。
ミーティングを終えると、牛たちに餌を与えつつ、餌づくりや除角作業、去勢などの作業も同時並行で行っているそう。
「餌は牛ごとに餌の種類や量が変わるので、自分たちで作らなければいけません。この作業は力仕事なので、本当に大変なんです。でも、牛たちに負担をかけるわけにはいかないので、慎重に作業しています」。
また、出荷する際に、牛をキレイにしてあげるのも上原さんの仕事。
「たくさんの牛を出荷する日は、朝の5時くらいから作業しています。でも、高く売れてほしいので、ちゃんとキレイにしてあげたいんです」と教えてくれました。
ほかの農家さんに自分が育てた牛を褒められた時が嬉しい!
農家になって大変だったことを上原さんに聞いてみると「私たちは会社なのでまだ良いのですが、石垣島は台風が多いので、牛が風邪をひかないように対策をしなければいけません。そういう時は大変だなって思いますね」と話してくれました。
上原さんが勤める「やえやまファーム」は、農業生産法人のため、従業員の勤怠やスケジュールはしっかりと管理されているそうです。
しかし、個人経営の場合はそうもいかず「個人経営の農家さんは休みが少なくて、予定も入れにくい。私たちと違って本当に大変だと思います」と話す上原さん。
「でも、自分が育ててきた牛が高く売れたり、セリでほかの農家さんから褒めてもらえた時は本当に嬉しいんです!そこが自分の原動力になっているんだなと感じます」と教えてくれました。
「いつまでも初心を忘れないようにしたい」上原さんが見据える将来
やえやまファームに就職して1年が過ぎた上原さんに、今後やってみたいことを聞くと「そこまで先のことは考えられないんですけど、なるようになるかなって考えてます」と笑顔で答えてくれました。
「あと、おかしいなと思ったらすぐに治療してあげたり、異常を見逃さなかったり、仕事に関しては初心を忘れずに、緊張感を持ってやっていきたいです。牛は生き物なので、そこは忘れずにやっていきたいです」と話してくれた上原さん。
目の前のことを着実にこなしながら、一歩一歩着実に成長することを大事にされているようでした。
大変なこともあるけど、達成感も感じられる仕事です
「私たちは会社勤めなので、ほかの従業員が体調を崩したら、代わりに出勤しなければいけないこともあります。でも、自分が育てた牛がほかの農家さんに褒められたときに感じる達成感はすごいあります」。
「だから牛に近づけるように、学びながらレベルアップしていきたいのですが、それを新しく入ってきた仲間たちと切磋琢磨しながらやっていけたら嬉しいです」。
仕事に対しての情熱と、農業を志す人にメッセージを送ってくれた上原さん。ふとしたキッカケで畜産の道へ進んだ上原さんの挑戦は、今後も続いていきそうです。