沖縄県八重山諸島にある石垣島。石垣牛やパイナップルなど数多くのの特産品があり、たくさんの観光客が押し寄せるこの島に、生産から、食品加工、流通販売・観光交流まで一貫して行っている「やえやまファーム」があります。
10カ月前、このやえやまファームに転職した宮崎さん(27歳)。宮崎さんは以前、関西にあるお菓子メーカーで、ルート営業の仕事をされていました。
しかし、離島への憧れもあり、誰も知らない地で新しい人生をはじめようと、やえやまファームへの就職を決意したそうです。
現在は人事総務として、やえやまファームを陰ながら支える存在に。
業種だけでなく、場所も職種もまったく異なる仕事にチャレンジしようと考えたのは、どういった理由があるのでしょうか?
目次
「そのまま仕事を続ければ、昇進して安定した生活ができていたと思います」それでも宮崎さんが農業に転職した理由
宮崎さんがやえやまファームに入社したのは10カ月前のこと。それまでは、関西にあるお菓子メーカーの営業マンとして、顧客先へ外回りをしていたそうです。
しかし、「ふとした時に、このまま仕事を続けていければ、おそらく昇進していって、安定するんだろうなってビジョンが見えたんですけど、周りの友人たちは学生時代に留学したり、卒業してから海外に働きに出ていく人もいて、そういう人生を過ごすのってカッコいいなと思ったんです」。
「もともと離島に住んでみたいという想いがあって、ちょうど転職を考えていた時期に、5年半付き合っていた彼女とも別れたので、すべてのタイミングが合ったんです」。
「その時に、今しかない!と思って探していたところ、やえやまファームが人事総務のポジションを募集しているのをみて、どうせ離島に行くなら今までまったくやったことがない仕事に挑戦しようと思いました」。
人の良さに惹かれた石垣島の生活
やえやまファームとの面接はオンラインで行われましたが、内定をもらった時、「3日後に来れる?」と言われた宮崎さん。
すぐに石垣島へ移住する決心をして、住居を探したそうです。「本当に何もわからぬまま、身ひとつできましたね笑」。
それでも、「ワクワクという気持ちしかなかった」という宮崎さん。
石垣島へ渡ると、すぐに家探しをはじめ、2日間で賃貸物件を契約。「あらかじめインターネットで目星はつけていたので、あんまり時間はかかりませんでした」。
そして念願の離島生活がスタートしましたが、石垣島の魅力については「内地にはない人の良さ、人との出会いだと思います」。
「週末に飲みにいけば、知り合いの知り合いに出会うことができます。そこから話も広がって、「今度うちの会社と一緒にこんな仕事やろう!」みたいな話になるんです。そこは狭い石垣島ならではだと思います」。
従業員を陰で支える人事総務という仕事
宮崎さんの仕事は、朝の8時に出社して、午後5時までの勤務。残業はほとんどないので、時間内にすべての仕事を終えなければいけないそうです。
転職するまでルート営業の仕事をしていたので、人事総務はまったくの未経験。仕事は大きく人事と総務に分かれているそうで、宮崎さんは両方の仕事を担当しています。
人事の仕事は、人が足りない部門がどういう人材を求めているのかをヒアリング。
「社員が欲しいのか、長く働いてくれるパートさんがいいのか、部門長と話をしながらどういった求人媒体で募集するのかを決定し、求人を出しています」。
一方で総務の仕事については「うちは古い建物が多いので、社内や外注業者に依頼して修繕していきます。あと、車の保有台数も多いので、車の点検をしたり、社内に生えている雑草を抜いたり、作業は多岐にわたります」。
「人が足りなければ他の部門を応援にいったりもしますし、一般企業より、やることは多いかもしれないですね」。
「ありがとう」と言ってもらえた時が一番嬉しい!
一般企業でも、人事総務は社内で評価されにくい仕事のひとつ。
そんな業務に携わっている宮崎さんにやりがいを聞いたところ、「営業と違って目に見える結果がわかりにくい仕事なんですけど、新卒や若い社員の様子を見にいったときに、笑顔で働いている姿や会社の愚痴などを話してきてくれて、素の姿を見せてくれたときがやりがいを感じます」。
「あと、これは営業をしていた時から大事にしてきたことなんですが、「ありがとう」と言ってもらえることを大事にしていて、いまの仕事でも部門や年齢によって意見のすれ違いがあり、下と上の板挟みになることもありますが、それを穏便に解決できたとき、「ありがとう」と言ってもらえた時に「やっていて良かった」と思います」。
今後について宮崎さんに伺ってみると「この島は高校を卒業すると島を出る人が多くて、自分と同じくらいの年齢の人は少ないんです。なので、そういう若い人たちが活躍できる場所、輝ける場所を作ってあげたい」。
「たとえ、やえやまファームという会社じゃなくても、この石垣島にやりがいがある仕事ができる場所を作ってあげたいなと思います」。
やりたいことを叶えることができるのが石垣島。前向きな気持ちを持って挑戦してください
10ヶ月前、築き上げたキャリアを捨てて石垣島への移住を選択した宮崎さん。同じように、新しいキャリアを考える方、農業を志す方にメッセージをお願いしました。
「僕は農業を経験したこともないし、農業をやりたくて石垣島に来たわけではありませんが」と前置きしたうえで、「石垣島に来るっていう不安はあると思います。離島ですし、娯楽も少ないですし。それでもやっぱり来れば、いい出会いもあります」。
「もし来ようと思うのであれば、後ろ向きな気持ちではなく、前を向いて来て欲しいなって思います」。
「この島は内気な人は多いんですが、物事を考える時に後ろ向きな人は少ないんです」。
「なにかやりたい、こういうことがやりたいという想いを、できるだけたくさん持ってきてください。それを叶えることができる場所が、石垣島にはたくさんあると思います」。
リアルな石垣島での生活や想いを話してくれた宮崎さん。離島で生活したり、農業に挑戦したいという方にとって、石垣島はピッタリな環境なのかもしれません。